診療科案内

(1)PETセンター

陽電子放射断層撮影(Positron Emission Tomography、略称PET)は、人体の代謝の状態を測定・数量化することができる最先端の非侵襲性的診断法です。人は病気にかかると、組織や内臓の変化よりも遥かに早い段階で細胞の代謝機能に変化が表れます。よってPET検査は病気の早期発見、特に悪性腫瘍の診断に効果を発揮します。PET検査の感度は84~87%、特異度は88~93%、精度は87~90%です。

1998年に設立された中山医学大学附属病院PETセンターは、医療用サイクロトロン、PET/CTスキャナ等の最新設備と豊富な臨床経験を有し、設立以来5500例の全身PET検査を行ってきました。

PETは陽電子放射断層撮影(Positron Emission Tomography)、CTはコンピュータ断層撮影(Computed Tomography)のことで、PET/CTスキャナはPETとCTを融合させた検査機器です。鮮明な断層画像と代謝画像、そして2つの合成画像を見ることができ、PETとCTを単独で行うよりも診断の精度が上がります。当PETセンターは高分解能クリスタル(解像度4mm)を採用したPETスキャナと16列マルチスライスCTスキャナを組み合わせた最新のハイテク機器を設置し、開放的な空間設計により圧迫感を感じることなく、また一般的なPET/CTよりも低い放射線量で検査ができます。

(2)PET検査の主な用途:

a.がんの早期発見:

適用対象となる方:

がんの高リスク群で、特に40歳以上、がんの家族歴がある方。(b)腫瘍マーカーの異常、レントゲンまたはエコー検査による異常等、通常の健康診断で異常が見つかったことがあるが、リスク要因(長期の喫煙、飲酒、不規則な生活、仕事のストレスによる原因不明の疲労感・発熱等)を排除できない方。

b.がんの病期診断:特に頭頸部がん、乳がん、肺がん、食道がん、大腸・直腸がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫に効果があります。

c.がんの治療効果判定:特に頭頸部がん、乳がん、肺がん、食道がん、すい臓がん、大腸・直腸がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫に効果があります。

d.経過観察時のがん再発診断:特に頭頸部がん、乳がん、肺がん、食道がん、大腸・直腸がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺がん、子宮頸がんに効果があります。

(3)最新の高性能CTのご紹介
当院ではサービス品質の向上と世界に比肩する医用画像診断技術を目指し、一度に最大幅16cmの撮影ができる東芝 Aquilion ONE 640スライス、そしてデュアルソース・デュアルエナジーのシーメンスSOMATOMA Definition FlashマルチスライスCTという2タイプの世界最先端CT装置を相次いで導入しました。これらの装置の特徴であるスキャンの高速化と撮影後の処理・分析能力の向上により、従来の64列マルチスライスCTに比べ各種疾病の診断率が大幅に改善。検査時間の短縮と検査時の被ばく線量の低減を実現し、特に心臓の冠動脈のスキャンで効果を発揮します。また、640スライスは脳病変や全身腫瘍にも高い診断精度を誇ります。従来のCTでは有効性が低かった頭部検査、特に脳機能検査も、640スライスを使えば一度にCT 灌流画像が撮影でき、従来の静止画像を4Dの動態画像に変えられるため、急性脳卒中、脳腫瘍、脳血管の微細な病変の診断にも使用できます。体内の臓器や関節の動態データの取得・分析が可能となり、画像の品質が目に見えて向上、診断の精度が上がりました。デュアルソース・デュアルエナジーはCT技術の新たなマイルストーンです。スキャンの高速化と検査時間の短縮の実現によって、以前のように検査時に長時間息を止める必要がなくなり、呼吸を長くはコントロールできない高齢者や子ども、急病・重症患者でも検査が可能となりました。全ての人に優しい先進的デザインは、被ばく線量や造影剤使用量の低減だけでなく、より鮮明となった画像が放射線科や臨床医の画像診断にも役立ちます。当院がこれらの装置を導入したのは、患者さんの健康のために、この非侵襲性的検査によって患者さんの負担を減らし、医師の自信を高めたいと考えたからです。